今日は機関投資家の話をします。
マーケットでよく耳にする、機関投資家。大きな資金でマーケットを振り回している印象ですが、業態によって投資行動は全く異なります。
そのあたりの話をしたいと思います。
機関投資家は大きく分けて4種類
機関投資家は、大きく分けて4パターンに分かれます
①商業銀行・中央銀行
②保険会社
③年金・政府系ファンド
④運用会社
まあファミリーファンドやヘッジファンドなど体系立てていけば、もう少し数は多くなりますが、存在感のあるプレイヤーとしては4種類です。
機関投資家は、集めた人のカネでバクチを打つ仕事
身も蓋もないですが、機関投資家の仕事は、集めてきた金を使ってマーケットで稼ぐ、規模の大きいバクチ打ちみたいなものです。金の集め方によって、投資行動が変わります(ここ大事)
僕みたいなのでもお金もらってるんだよね
①銀行の投資行動
銀行は、株式会社の形態が多いため、基本的に四半期ごとに決算開示させられます。そのため、3か月単位で損を出していると株主から詰められるわけです。
加えて、基本的には企業のローンで金を貸して、利息で飯を食う商売のため、マーケットでの収益は、「本業の金貸しのおまけ」です。
また、銀行のお金の集め方は、企業や個人の預金です。預けられた翌日に引き出される可能性もあります。
結果として、どうしても投資行動は、足が速く、収益が計算できる満期が短い債券(国債・ピカピカ企業の社債)が主な投資対象になります。
借金(バランスシートの負債部分)の足が速いので、投資対象(バランスシートの資産部分)も短くないと、いざというときに逃げられません。
みずほ銀行の2021/3Q決算を見に行くと、資産は217兆円ありますが、債券は32.6兆円、株は3.4兆円しかありません。(スライド5P)
また、債券の年限を見に行くと、だいたい2-3年です(スライド9P右上)
満期まで短い債券で、少しでも収益を稼ぐ。株は値動きが大きいので、ほとんど持てない。
これが銀行の投資行動になります。この辺は中央銀行でも同じです。
②保険会社の投資行動
保険会社は、日本の生命保険の場合は、大きいプレイヤーはほぼ非上場です(例外:かんぽ生命、第一生命)。
ということは、収益を株主から詰められることがなくなるので、投資の時間軸が伸びます。
保険会社の金の集め方は、「保険料」です。これは、お金を出した人が亡くなったり、年を取ったら、返さないといけないお金です。ただし、そこまでにはまだ数10年余裕があります。
また、多数の保険契約があれば、10年以内に事故で死ぬ人が何%、20年以内だと何%、といったように確率論でキャッシュアウトが計算できるので、それに合わせて預かった資金を運用します。(こういう仕事をする人をアクチュアリー/保険数理人といいます)
集めた金を返すまでに時間をかけてよいので、必然的に投資行動は、どっしりとした、長期の投資時間軸になります。また、銀行と違って、お金を貸し出して利息を得るということができないので、集めたお金はほぼマーケットに流れ込みます。
第一生命の2021/2Qの資産運用を見てみます(P18)
資産37.8兆円に対して、有価証券は32兆円(86%)、そのうち株は3.2兆円です。
さきほどのみずほ銀行の資産の1/6程度なのに、ほぼ同じ額の有価証券と株を持っています。
第一生命は上場会社なので、リスクの高い株式保有は少なめです。
非上場の日本生命を見てみます。
資産は合計70.5兆円(一般勘定/P16)、有価証券59.2兆円に対して、株式は8.9兆円あります(P2)。株の割合が増えました。うるさい株主がいないためリスクの高い株が持てます
Exitに時間がかかる非上場企業へのベンチャーキャピタル、30年を超えるような超長期の債券も、保険会社であればそこそこ持てます。
1年~5年スパンで満期まで10年以上の債券に投資できたり、株やベンチャーキャピタルもそこそこ投資できる、長期投資が可能なのが、生命保険会社です。
③、、、と言いたいところですが
ちょっと疲れてしまったので、また後日続きを書きます。
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